2024年のF1マシンは実はあまり速くありません。
最速だったのは・・・
F1が最速だったのは2020年です。
F1に最もパワーがあったのは2005年ですが、2020年のマシンが最も速くサーキットを走ることができました。
2019~2020年頃のF1マシンは次々にラップレコードを塗り替えました。
バーレーングランプリの予選最速タイム比較
バーレーングランプリにおける予選の最速ラップタイムは次の通りです。
2020 | 1分27秒264 | ルイス・ハミルトン |
2024 | 1分29秒179 | マックス・フェルスタッペン |
このように2024年のF1マシンは、2020年のF1マシンよりラップタイムが遅くなっています。
イギリスGP予選タイム比較
2020年と2023年のイギリスグランプリのタイムを比較しても一目瞭然です。なんと今のF1は2秒以上遅いのです。
2020 | 1分24秒303 | ルイス・ハミルトン |
2023 | 1分26秒720 | マックス・フェルスタッペン |
2020年ほど速くなかった2019年のF1マシンですら、2023年のモナコよりも1秒以上速く走れています。
コーナーがほとんどないイタリアグランプリ(モンツァ)でさえ、1秒以上遅い結果になっています。
なぜ今のF1は最速ではない?
重い&空力の制限
2022年のレギュレーション変更により、車の形が大きく変わりました。
2022年以降のF1マシンは、グラウンド・エフェクトによって得られるダウンフォースを中心としており、ボディの空力付加物を最小限にすることで、後方乱流の影響を抑える目的があります。これによりオーバーテイクがしやすくなります。
しかし、グラウンドエフェクトは高速域では真価を発揮しますが、低速域ではあまり大きな効果が発揮されません。低速域ではむしろウイングやカウル全体で生み出されるダウンフォースやメカニカルグリップの方が重要になることがあります。
さらに、2022年以降のF1マシンは非常に重く、800kgもあります。これは20年前のF1より200kg近く重いことになります。重ければ当然あらゆる場面で速度が落ちる原因となります。ブレーキングも不利です。
E10燃料の導入
F1の2022年からのレギュレーションにより、ガソリンにE10燃料が導入されました。
E10燃料はバイオエタノールをガソリンに10%混合したものです。
それまで使用していたガソリンよりもいくらかパワーが落ちます。
2020年はまだE10燃料を使っていなかったのでパワーの面でも最新のF1に全く劣っていないという理由もありました。
タイヤへの負荷の懸念も
ダウンフォースの絶対量が上がれば上がるほど、コーナリングスピードも上がり、タイヤへの負荷が増大します。
ピレリタイヤは以前と比べれば遥かに壊れにくくなりましたが、2020年以上の速さでコーナリングされた際に耐えられるかどうかは未知数です。
2020年にはレースをしていないサーキットがある
2020年は新型コロナウイルスのパンデミック真っ只中だったため、レースをしていないサーキットがたくさんありました。
その一つが鈴鹿です。
このため、2020年のマシンの鈴鹿サーキットでのタイムは不明であり、2019年の予選最速タイム1分27秒064というセバスチャン・ベッテルの記録が残されています。
2024年に1分27秒064というタイムを超えられるかどうかと言われると怪しいところです。
今の車には改良の余地がある
2022年からのF1マシンはまだまだ伸びしろがあります。
最適解はまだ見つかったとはいえません
F1マシンはレギュレーションで規制しないと1年で2秒以上速くなると言われています。
ただし、予算の制限があるので昔ほど大きな進化はないかもしれません。
また、今のF1のルールでは開発可能なエリアがかなり制限されています。パワーユニットも開発凍結されています。